Japan-U.S. Global Leadership Program in the Age of Artificial IntelligenceAI時代の未来を拓く日米グローバル人材育成プログラム

2023年度後期 第86回STARTプログラム パデュー大学

2024年2月24日(土)から3月6日(水)にかけて、広島大学の学部生7名がアメリカ・インディアナ州のパデュー大学(Purdue University)で、リベラルアーツの観点から半導体の基礎を学びました。参加学生は、工学部(4名)に加え、経済学部(1名)、生物生産学部(1名)、総合科学部(1名)と、多様な学部から集まりました。現代社会では、専門知識だけで解決できない複雑な課題が増えており、理系・文系を超えた幅広い視野と多角的な思考力が求められています。このプログラムが全学部を対象に参加者を募ったのは、多様な視点を持つ柔軟な人材を育成することがこのプログラムの目的の一つだからです。

プログラム概要

このプログラムは、講義、研究施設の視察やフィールドトリップ、および、学生交流の3つを柱に構成されていました。それぞれの活動を通じて、参加学生たちは半導体分野を中心に貴重な経験を積むことができました。

まず、講義については、プログラムのテーマである「半導体」に関連した3つの入門講義が実施されました。参加学生は、事前学習としてプログラム渡航前に、広島大学ナノデバイス研究所の後藤秀樹教授から日本語で半導体の基礎知識を教わっており、英語の半導体の授業を思ったよりも理解できたようです。

さらに、パデュー大学の正規生が受けている授業にも参加しました。たとえば、「サイエンス分野での効果的なプレゼンテーション」や、半導体研究所の研究者によるオムニバス講義に参加する機会も得られました。正規生がどのように学んでいるのかを間近で体験することで、刺激を受けるとともに、将来の長期留学への具体的なイメージも膨らんだようです。

次に、プログラム期間中には、半導体施設や原子力発電所、スバルの組立工場など、最先端の研究施設を訪問しました。専門的な内容が多かったものの、参加学生は自分の持つ知識をフル活用して理解しようと頑張っていました。現地で大学院生が直接施設を説明してくれる場面もあり、学生にとって非常に良い刺激となったようです。

パデュー大学のバーク・ナノテクノロジー・センター(Birck Nanotechnology Center)は、ナノテクノロジー分野の最先端研究施設です。このセンターは、半導体や原子レベルの技術に関する先進的な研究開発の拠点であり、300人以上の学生、教員、スタッフが所属し、6つの学部からの研究者が共同で活動しています。また、同センターは産業界や他の学術機関、政府との連携を促進し、ナノテクノロジーの進展に重要な役割を果たしています。

週末にはシカゴへのエクスカーションも実施。ウェスト・ラフィエットとは全く異なる大都会を体感し、シカゴピザや観覧車といった娯楽を楽しむだけでなく、科学産業博物館の見学や、シカゴの建築史を学べるボートツアーにも参加しました。これにより、各自の専攻に合わせた新しい知識や興味が広がったようです。

シカゴエクスカーション

学生交流もこのプログラムの大きな柱の一つでした。期間中、本学の学生たちは、日本学生会 (JSA)、日本語コースを履修する学生たち、アジア系アメリカ人コミュニティ、および、工学部の学生たち(2024年5月に広島大学を訪問するメンバー)など、現地のパデュー学生グループと活発に交流しました。現地での留学生生活のリアルを深く知ることができたようです。

このプログラムをきっかけに、本学の学生たちは、帰国後も英語学習や国際交流への意欲を持ち続けている様子です。

パデュー大学について

パデュー大学は、アメリカの名門州立大学の一つ。卒業生から3名ものノーベル物理学賞受賞者を輩出しています。しかも、2010年度のノーベル化学賞を受賞した根岸英一博士もこちらの卒業生。まさにトップクラスの実績を誇る大学です。

さらに注目するのは、全米最大規模のSTEM教育(科学、技術、工学、数学)を展開している点です。特に半導体分野では、人材育成のリーダーとして知られていて、この分野をけん引する存在です。

そのような名門大学と広島大学は、2023年5月に大学間国際交流協定を締結しました。半導体分野をはじめ,幅広い多様な分野でも協力関係を発展させていくことで合意しました。

両大学は、マイクロン社をはじめとする日米11大学が参加する「UPWARDS for the Future」に一緒に参画しています。このプログラムは、日米間での半導体人材育成を目的とした大規模なパートナーシップ。未来を担う人材を育てるための取り組みです。

さらに、G7広島サミットに合わせて広島で行われた教育関連の協定締結式では、両大学の学長が日米の大学を代表して覚書(MOU)に署名しました。これからの国際的な連携に向けて、大きな一歩を踏み出しました。

パデュー大学も含め、これからも米国3連携大学との協力を通じて、本学の「大学の展開力強化事業(米国)AI時代の未来を拓く日米グローバル人材育成プログラム」のより一層の発展を目指していきます。